庭の一部を隣の人に譲ってほしいと頼まれた。売る範囲は話し合えているので、図面に線を引き、その部分だけ名義を変えればよいのでしょうか。

登記上、一筆になっている土地の一部を別の不動産として売る場合、通常はその部分を分ける分筆登記を行います。ただし、土地を分けることと、買主へ所有権を移すことは別の手続です。

分筆は、一筆の土地を複数の土地に分ける登記

「一筆」とは、登記上の土地の単位です。広い庭が一筆のこともあれば、一つの住宅敷地が複数の筆で構成されていることもあります。まず、対象の土地がどの地番で、何筆あるのかを登記記録で確認します。

分筆するには、元の土地の筆界を明らかにしたうえで、どの位置に新しい区画線を設けるか検討し、測量や図面作成を進めます。売る部分だけを囲って測れば必ず足りるというものではなく、必要な調査範囲は資料や土地の状態によります。

分筆登記が終わっても、それだけで所有者は買主に変わりません。売買による所有権移転登記など、権利に関する手続を別に進める必要があります。土地家屋調査士と司法書士の担当範囲を確認し、決済までの流れを組み立てましょう。

残す土地の使い勝手も確かめる

売却する面積が小さくても、区画線の引き方によっては、残る土地の通路が狭くなる、建物の敷地条件に影響する、配管が別の所有者の土地を通る、といった問題が生じることがあります。

建物の敷地では、接道、建ぺい率・容積率、自治体の最低敷地面積など、建築に関する条件の確認も必要です。登記で土地を分けられることと、その区画で予定する建物を建てられることは同じではありません。建築士や自治体の担当窓口にも計画を確認します。

図面上でまっすぐに分ければ合理的に見えても、現地には段差や塀、給排水設備があるかもしれません。売る土地と残す土地の両方について、利用方法を具体的に想定することが大切です。

抵当権がある土地では金融機関との調整も

元の土地に抵当権が設定されている場合、分筆しただけで売る部分の担保が消えるわけではありません。買主へどの状態で引き渡すかを決めるには、金融機関と司法書士へ、売却予定範囲や担保の取扱いを早めに相談する必要があります。

売買契約では、分筆後の対象、面積の確定方法、費用負担、分筆の完了時期などを明確にしておきます。まだ測量していない段階で「この面積で必ず渡せる」と約束すると、後から調整が難しくなる場合があります。

土地家屋調査士への相談時には、売りたい範囲を示す略図とともに、登記記録、既存図面、残す建物の位置が分かる資料を用意しましょう。現況と権利関係を確認したうえで区画案を作れば、分筆後に使いにくい土地を残すリスクを減らせます。