家を相続した、土地を売りたい、隣との境界が分からない。不動産に関する問題には複数の専門家が登場するため、最初の相談先に迷うことがあります。

大まかな目安は、土地や建物の物理的な状況を調べて登記に反映する仕事か、所有権などの権利を登記する仕事か、権利について争いがあるのか、という違いです。一つの案件で複数の業務が必要になることもあります。

境界、面積、建物の状況は土地家屋調査士へ

土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記に必要な調査・測量や、その申請代理を行う専門家です。土地の分筆・合筆、地積更正、地目変更、建物の表題・変更・滅失登記などが主な相談対象になります。

境界杭が見つからない、公図と現地が合わないといった場合にも、資料と現地から筆界を調べる相談ができます。法務局の筆界特定手続の代理も業務に含まれます。

ただし、土地家屋調査士に測量を頼めば、所有権の争いや損害賠償まで何でも代理してもらえるわけではありません。どこまでを依頼するのかを、最初に確認する必要があります。

名義変更や抵当権の登記は司法書士へ

司法書士は、相続や売買による所有権移転、所有権保存、抵当権の設定・抹消など、権利に関する登記の申請代理を担います。同じ「登記」でも、建物がどこにあり、どれだけの広さかを記録する表題登記とは役割が異なります。

たとえば、土地を分けて一部を売る場合、分筆登記を土地家屋調査士に、売買による所有権移転登記を司法書士に依頼する流れが考えられます。相続した家が未登記なら、表題登記と権利に関する登記の両方を検討することがあります。

二人の専門家が関わる場合には、完成した図面や登記情報をどの時点で受け渡すか、費用と必要書類を誰に確認するかを整理しましょう。依頼者自身が、それぞれに何を依頼しているか理解していることが大切です。

権利の対立や賠償の争いは、弁護士にも相談

「土地を明け渡してほしい」「屋根を撤去してほしい」「工事による損害を賠償してほしい」といった法的な紛争では、弁護士への相談を検討します。筆界特定で筆界が示されても、それだけですべての民事上の争いが解消するとは限りません。

土地家屋調査士会ADRなどの制度を利用する方法もあります。所定の認定を受けた土地家屋調査士が依頼者の代理をする場合には、弁護士との共同受任など、業務上の条件があることも押さえておきましょう。

相談先を探す段階では、困っている事実、目標、予定時期を短くまとめると役立ちます。「登記をお願いします」だけでなく、「来春に土地の一部を売るので、境界と分筆の必要性を確認したい」と伝えると、担当範囲を判断しやすくなります。

土地家屋調査士ナビの掲載情報を利用する場合も、読者自身が事務所を選び、対応できる内容や費用を直接確かめてください。資格名だけで決めず、具体的な依頼内容と、他の専門家の業務が必要になる場面について説明を受けましょう。