隣の家の売却に伴い、土地家屋調査士から境界の立会いを頼まれた。当日、「こちらに署名をお願いします」と書類を渡されたら、その場ですぐに応じるべきでしょうか。
境界の立会いは、自分の土地の位置を確認する機会でもあります。署名を急ぐ必要はありませんが、内容を確かめないまま放置するのも得策ではありません。何について確認する書類なのか、図面と現地を見ながら説明を受けましょう。
現地の点と添付図面が一致しているか
確認したいのは、対象となる土地の地番、境界点の番号、点と点を結ぶ線、境界標の種類です。自分が見ている金属のプレートと、図面に示された点が同じものかを確認します。「この塀のあたり」といった説明だけでは、塀の中心なのか、自分側の面なのかも分かりません。
以前の売買時の図面や境界確認書があれば、立会い前に用意してください。新しい説明と食い違う点があっても、直ちにどちらかが誤りとは断定できません。資料の作成経緯や測量の基準を説明してもらう必要があります。
実際の立会いでは、土地の角だけでなく、途中で線が折れる点も確認します。見通しが悪い、草木で目印が隠れているなど、その場で理解できなかった点は具体的に伝え、確認できる方法を相談しましょう。
境界の確認と、越境物への合意を混同しない
「境界確認書」「筆界確認書」などの名称でも、書かれている内容は同じとは限りません。境界の位置だけを確認するものか、塀の所有、越境した屋根の扱い、将来の撤去や費用負担まで含むものか、本文も読むことが大切です。
登記上の区画である筆界は、隣人同士の合意だけで自由に動かせるものではありません。一方、土地の所有権の範囲や利用方法についての合意が、別の法的な意味を持つ場合があります。「境界を確認するだけだから」と説明されても、実際の文言を確かめてください。
図面と文章が一体になっている場合には、どの図面について署名するのかも確認します。白紙の添付図面や、後から内容を加える前提の書類に署名するのは避け、説明を受けた状態の書類を保管しましょう。
納得できない点は理由を伝え、写しを残す
疑問があれば、「古い図面では点の位置が違う」「塀の所有まで確認した覚えはない」など、論点を具体的に伝えます。説明や資料の追加を求め、必要なら日を改めて確認して構いません。土地の所有権を譲る内容などが含まれる場合は、署名前に弁護士へ確認する方法もあります。
共有地や相続が発生した土地では、誰が確認し、誰が署名する立場にあるのかも重要です。家族だから当然に代理できるとは考えず、依頼元に代理権や必要書類を確認してください。仕事などで立ち会えない場合も、事前に連絡して対応方法を相談します。
最終的に確認した書類は、署名部分だけでなく添付図面を含めて写しを受け取り、日付とともに保存します。「誰かに言われて署名した」で終わらせず、自分が確認した点を後から説明できる状態にしておくことが、将来の行き違いを防ぎます。