地震などの災害で自宅に大きな被害が出て、り災証明書では「全壊」と判定された。建物滅失登記をすぐに申請すべきか、解体が終わるまで待つべきか、迷うことがあるかもしれません。
災害時の被害認定と、登記法上の建物の滅失は、判断の目的が異なります。証明書の区分だけで結論を出さず、建物がどのような状態にあるかを確認することが必要です。
被害の程度と、建物として残っているかは別の確認
登記法上の建物は、屋根や周壁などがあり、土地に定着して、その用途に使える状態の建造物であることが基本です。災害後も建物として存続しているのか、修復可能性などを含めて、現地の状況を調べることになります。
り災証明書の「全壊」は支援制度などのための被害認定であり、物理的に建物が跡形もなく消えたことだけを意味するものではありません。逆に、火災や倒壊によって登記法上の建物としての性質を失っていれば、がれきが残る状況でも滅失に当たる場合があります。
所有者だけで判断するのが難しいときは、法務局または土地家屋調査士に相談します。損傷した建物への立入りは危険を伴うため、写真を撮るために無理に内部へ入らず、安全が確保された方法で資料を集めてください。
全部の滅失か、一部の変更かを整理する
建物が滅失したときは、原則として滅失の日から1か月以内に滅失登記を申請します。ただし、災害では滅失した時点や手続に必要な情報の確認に困難がある場合もあるため、被災状況を管轄の法務局に伝え、利用できる対応を確認してください。
一部を解体して残りを修復する場合には、建物全体の滅失登記ではなく、床面積などの表題部変更登記が必要になることもあります。母屋と附属建物のどちらが被災したかによっても、整理の仕方が変わります。
災害によっては、法務局が自治体と連携して職権で滅失登記を行う取扱いが案内されることがあります。しかし、すべての災害・地域・建物で自動的に行われるわけではありません。自分の建物が対象か、登記が完了したかを確認する必要があります。
公費解体、保険、登記はそれぞれ進捗を確かめる
公費解体の申請をした、保険金の支払いが決まった、市区町村へ被害を届けたというだけで、法務局の登記も完了したとはいえません。各手続の対象と担当窓口を分けて整理しましょう。
手元に残る登記事項証明書、り災証明書、被災前後の写真、解体の証明などは、後の確認にも役立ちます。書類を失った場合は、何が取得できるかを各窓口で相談します。亡くなった家族の名義の建物なら、相続関係も併せて確認する必要があります。
住宅ローンが残っている場合、建物の被災や滅失登記によって返済義務が自動的になくなるわけではありません。再建に向けた融資や担保についても、金融機関と司法書士等に相談してください。
生活の再建を急ぐ中では、登記の書類は後回しになりがちです。安全と生活を確保しながら、建物の現況、解体の予定、利用できる行政の対応を整理し、必要な登記が済んだことまで確認しましょう。